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第271回 熊本日独協会(熊本・ハイデルベルグ友の会)

8月29日、熊本市国際交流会館、熊本日独協会例会での卓話を依頼され出席した。会長・事務局長の重浦睦治氏(熊本市国際交流振興事業団専務理事)とは、1997年に熊本で開催した男子ハンドボール世界選手権大会や、2008年の北京五輪に出場した水泳競技のドイツナショナルチームの、熊本での直前合宿等でご一緒に仕事をした間柄。ドイツ語が堪能でビールが大好き(これはドイツとの交流では不可欠の条件?)な方。会場に伺うと錚錚たる会員の皆様の中に、昵懇の方々の姿も見え幾分緊張が高まったが、会場正面のスクリーンでブラジルワールドカップのドイツ対アルゼンチンの決勝戦が映し出されていてその分、硬さが緩んだ。

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熊本日独協会は2012年に創立50周年を迎え、同時に熊本市とハイデルベルグとの友好都市締結20周年を迎えた、歴史と伝統のある友好の会。私もドイツでの体験は少なくないが、会員の皆さんは何度も訪独されたり、先方からのゲストを熊本にお迎えしたりの経験豊富な方が多いことを、重浦氏より卓話を依頼された際にお聞きしていた。私はかって女子ハンドボール日本代表のスタッフとして、当時、世界一だったソ連やその傘下の共産国を多く訪れていて、この日はドイツが東西に分割統治された1961(昭和36)年から、ベルリンの壁が崩壊した1989年までの28年間の東ドイツの体制や旧共産圏についての体験を基にお話しした。1945年第2次世界大戦の終結。日本は8月15日に終戦を迎えたが、それ以前の7月から8月の初めに米、英、ソの首脳が終戦後のドイツの統治と日本の無条件降伏等を論じたのが、終戦まではドイツ国内だったベルリン郊外のポツダム。これは後に「ポツダム宣言」として歴史的に有名な場所となる。

ソ連主導で形成された共産圏はハンガリー、チェコ、ルーマニア、ポーランド、ブルガリア、ユーゴ、東ドイツ等の国々。その中でも東ドイツはソ連の優等生で(Deutsche Demokratische Republik)その頭文字でDDRと呼ばれ、周辺国に恐れられた。ドイツ全土のほぼ中央に位置する首都ベルリン(戦後しばらく西ドイツはボンを首都としたが、現在はベルリン)。戦後、東西に分割されたが往来は自由だった、ただ、東(共産圏)に見切りをつけて西(自由圏)に移動する市民が多くなり、1961年に突然、ベルリン市内に壁が構築され、国境が線引きされ引き裂かれた民族・家族の悲劇が多発した。1989年ソ連のペレストロイカに端を発した民主化運動で、28年間のベルリンの壁は壊され、壁の上での歓喜の市民の映像は記憶に新しいと思う。

ベルリンのブランデンブルグ門やウンターデリンデン通、世界的に有名なペルガモン博物館等、重要な建造物等の多くは東側に組み込まれていた。夜になると壁の向こうは西側の繁栄の明るさが見え、反対の東側の夜は暗く静かに佇む感じ。その分け隔てられた東西ドイツが、ベルリンの壁の崩壊で一挙に自由化したことは、当時を知る者としては画期的な出来事であった。本当に東西の融合の証を感じたのは、2006年のドイツでのFIFAワールドカップの抽選会がその前年に旧DDRのシンボル的学術都市のライプツィヒで行われ、世界中のメディアが参加した。その光景をみた時、今日の自由なドイツの姿を実感した。

今回の会に二人のドイツからの若い男女が参加していた。女性のベリンダ・プライスィンガーさんは、ドイツ国際交流員の肩書で8月3日に来日、これから5年間、熊本市観光文化交流局で仕事をされる。彼女は名門ライプツィヒで日本語を学んだ由。後日、職場に伺い話を聞いた。熊本は美しい所が多く、みな親切。食べ物では家庭的な料理が好きだが、特に「うなぎ」が美味しいとのこと。バイエルン州出身の彼女から伝統的な可憐な民族衣装の写真をお借りできた。男性のクリスティアン・シュテーガーさんは山都町教育委員会での仕事。メールで短い質問を発して、回答をいただいた。出身はフランクフルト周辺。彼は今回で7回目の来日。東京の上智大学で学び都会の生活を満喫したが、此度の山都町での自然に囲まれた環境、その違いも面白いし楽しい。周辺の阿蘇、高千穂、別府辺りまで出かけて温泉や、牛肉などを食べるが、家庭料理や寿司が大好きとのこと。学校の職員室のドアに書かれた『あとぜき』の言葉は、特に印象的との回答。

2002年に熊本日独協会には全国でも珍しい、会員による"ドイツ語で歌うことを楽しむ"「コール・クライゼル」~混成合唱団が発足。この日の締めも「野バラ」の合唱を楽しそうに、朗々と。お聞きするとハイデルベルグ訪問の際にも、熊本からの音楽家たちの披露する歌に大きな拍手が沸き起こったそうで、日独の友好の交流のすばらしさを感じた。

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(バイエルン州フランケン地方の伝統的服装のベリンダさん)

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