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第289回 旅立ち

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(JFAアカデミー熊本宇城4期生 2014年5月撮影)

3月14日、JFAアカデミー熊本宇城の4期生18名が小川中学校をそしてアカデミーを卒校した。午前9時30分からの小川中学校の卒業式に出席した山口隆文JFA育成担当技術委員長は、引き締まった式典と卒業生、在校生共々の真摯な姿勢に『ひさしぶりに厳粛な卒業式でした』と語られ、ご子息のいわゆる大都市の式典の雰囲気との違いを説明されたのが印象的だった。毎年アカデミーのスクールマスターの立場で出席、何の違和感も持っていなかったが、謂われてみて学校側の入念な準備や生徒たちの純真な想いに改めて感じ入った。

午後の卒校式はアカデミーのすぐ近くの小川総合文化センターのラポートで行われた。原博実JFA専務理事はその2日前に日本代表の新監督、ハリルホジッチ氏の来日を東京で迎え、前日は大阪・堺の女子の育成のJFAアカデミー・堺の開校式に出席されての宇城入り。4期生に対して『アカデミーで教わった基本をベースに夢に向かって力強く羽ばたいて欲しい』と、ご来賓の守田憲史宇城市長からは『政治や経済その他諸々の分野で活躍する「エリート」について、アカデミー生も将来スポーツだけではなく世の中に役立つ人間になって欲しい』旨の激励をいただいた。

その「エリート」という表現はアカデミーの大切なコンセプトなので、JFAアカデミーシステムの立ち上げから中心的役割を果たされている、田嶋幸三JFA副会長の自著"「言語技術」が日本のサッカーを変える"から要約説明したい。~『世界各国に日本のユースチームを率いて遠征し、特に印象的だったのは、世界各国で取り組まれている「エリート教育」でした。スペイン、イギリス、ドイツ等ではクラブが積極的に「エリート教育」に取り組んでいました。特にフランスでは国が率先して取り組んでおり、そもそもフランスという国自体がさまざまな分野で「エリート育成」をしている国家ですから、当然のようにサッカーについても「エリート育成システム」が確立されています。しかし、日本において「エリート教育」は馴染みが薄いというより「エリート」という言葉が壁になりました。日本の教育現場ではご存知のように極端な「平等主義」が浸透しています。その結果、全体のレベルが低下してしまい、優秀なリーダーが育っていないという状況が続いています。でも本来の平等とは「個人の能力に応じた、機会の平等」であり、「エリート」と言うと、自分の地位や才能をひけらかし、特権階級といったマイナスイメージで使われてしまっている。私たちは「エリート」という言葉をあえて用いることで、この誤った「平等」「エリート」の概念を正すべく、問題提起をしたいと考えました。』~とあり、アカデミーは単にサッカー技術の習得の場ではなく、リーダーとしての資質を身につける場であることも確認しておきたいものだ。

これに関して、「エリート」に相似た意味合いの「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある、紹介しよう。明治時代には「位高ケレバ、務メ重シ」と記され、明治政府が日本の近代化に乗り出すとき、西欧からさまざまなものを導入、その中に欧州の貴族の規範の「ノブレス・オブリージュ」の価値観があった。分かりやすく言えば国家でも、官庁でも、会社でも、個人経営の店でも、人が人を率いている組織で、何かに直面し危機に遭遇した場合には、リーダーが真っ先に事にあたり、あるいは責任をとる覚悟、姿勢があればその組織は発展する、そのような観念が「ノブレス・オブリージュ」の本質であろうし、リーダーとは本来そんなものではないかと思うが、昨今の風潮はその逆のケースが散見されるのは残念だ。

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(卒校式 4期生答辞)

スクールマスターとして私は次のように祝辞を述べた。『18名のJFAアカデミー熊本宇城の4期生の諸君、本日は小川中学校のご卒業、ならびにアカデミーのご卒校、まことにおめでとうございます。諸君は人が成長する過程の中で最も伸びやかで、多感な3年間をこの宇城市の小川町で過ごしました。小川中学校では勉学のほかにも幾つもの学校行事を通して多くの仲間たちと素晴らしい思い出が作れたと思います。アカデミーでは優秀な指導陣のもと、サッカーの基本から指導してもらいました。そして、アカデミーの特色の一つの全寮制で親元を離れて、掃除や洗濯の身の廻りのことを自分ですることで、本当に家庭や保護者への感謝の気持ちが実感出来たと思います。保護者の方々に昔から「可愛い子には旅をさせよ」という言葉がありますが、まさに、それを実践され、親子共々に大きな体験をされたと思います。君たちはサッカーにおいて確かな基本を習得、寮生活ではチームワークの大切さと、その中での個としての自分を律する、人間としての大きな基本が身に付いたと思います。3年前の入校式で大きな声で夢を語った、その夢の実現への第一過程が終わりました。明日からそれぞれの道を歩きますが、胸を張って力強く進んでください。2020年の五輪、またワールドカップ出場の夢に向かって下さい』

最後は18名のそれぞれが、テーマを掲げて決意を語ってくれたが、堂々とした発言でまさに"「言語技術」が日本のサッカーを変える"の成長の証を見せてくれた。 頑張れ"若き獅子たち"。

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