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第298回 揺れるスポーツ界

FIFA(国際サッカー連盟)が大揺れだ。副会長2名を含む幹部ら7人が逮捕された。米司法省は20年以上に亘ってメディアや代理店から総額1億5千万㌦(日本円184億5千万円)の巨額の賄賂。他にも関係者14人を起訴のニュースが世界を駆け巡った。その関連でスイスの司法当局は18年、22年のワールドカップ(以下W杯)の開催国決定に関する不正容疑で刑事訴訟を起こした。FIFAはスイス・チューリッヒに本部を置き、この騒ぎの中で、今後の4年間を託す会長選を行い、同国出身のゼップ・ブラッター氏(79歳)の5選が決定した。しかし、この結果が今回の問題の解決にはほど遠いと、欧州や米国はW杯ボイコットの検討等で対決色が強まっている。一つには高齢会長が「4選」で退く公約をホゴにして再出馬したことが発端だ。今後に予断を許さない展開だ。サッカーの競技では先発メンバーが将来を担うキッズの手を携えて入場する「エスコート・キッズ」。また、会場にはFIFAのフェアプレーのフラッグが掲示され好評だが、その大元締めの今回の永年に亘る不祥事、即退場のレッドカードものだ。

ネットで検索すると、今回のFIFA疑惑に関して、2002年日韓W杯の際の決勝トーナメント1回戦のホスト国・韓国とイタリアの試合について疑惑があると、イタリアの新聞「コリエレ・デッロ・スポルト」社が報じた。この試合イタリアのFWフランチェスコ・トッティがシミュレーション(欺瞞行為)によって退場。延長戦でのイタリアのゴールが認められず敗退。この二つの判定は後のFIFAのDVD審査で「世紀の10大誤審」に加えられた。同試合の主審を務めたバイロン・モレノ氏は大会後、理由も明らかにされないままにFIFAの国際審判のリストから除外された。また今回のFIFA会長選については、元副会長の韓国の鄭夢準氏がブラッター会長に『即刻辞任』を求めたが、多くの読者のコメントは『お前に言われたくない』。私も3回前のこのブログでふれたが、2002年の日韓W杯は鄭氏(当時のFIFA副会長)が日本の単独開催に、横ヤリで韓国との共催になったもので、いろいろな裏工作がなされた指摘は記憶に新しい。

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今回の問題の背景は、W杯開催地決定に絡むもので、宿痾(しゅくあ~永いあいだ治らない病気)と言える。加熱する招致合戦の所産だが、W杯と五輪の会場決定について、この際、シンプルな二つの提案をしてみたい。一つはW杯・五輪開催希望国に対して開催に必要な条件を提示、それを満たした希望国を一同に集めて、明朗抽選で決めたら少なくとも誘致に伴う不必要な経費や不祥事は解消されるだろう。二つ目は逮捕者を出した国は少なくとも次のW杯・五輪への出場権をはく奪してはどうだろう。そんな関係者を送り込んだ国へのペナルティーとすれば、今後はかなりの人物がFIFAやIOC(国際オリンピック委員会)に集まることになる。これを五選を果たしたブラッター会長が自身の口で語れば、局面も変わってくるのではないか。

さて、五輪。こちらも招致活動が過熱しすぎだと思う。そして2020年に向けた日本のプレゼンテーションが2013年9月にブエノスアイレスで行われIOCに受けとめられた背景の一つには、2011年の東北大震災から復興に立ち上がる、日本の姿が認められ、既設設備を有効活用して、コンパクトでエコという現代のテーマも織り込んだものが評価されたものだ。ところが最近の報道はその逆を行くような展開ばかり。まず、新国立競技場のデザインにイラク出身で英国在住の女性建築家ザハ・ハディド氏に依頼した事。外国人で悪いのではなく、はっきり言って斬新過ぎて神宮の森に適しない。屋根つきは当初の計画から説明されていたが、スポーツの会場にはふさわしくない華美さ。第一、日本にも優秀な建築デザイン家は少なくないはず、何故、日本人を選ばないのかと思う。そして、5月18日に下村博文文科大臣と舛添要一東京都知事の会談がテレビで放映されたが、その内容はお粗末なもので下村大臣の『屋根を付けると工期が間に合わない。見積もりも千六百億円より相当アップされる』との話。どうやら、東京五輪の前年の2019年に日本で開催される、ラグビーW杯に屋根付きの五輪会場の建築では間に合わないことが文科省の説明の背景のようだ。因みに日本ラグビーの協会長は森喜朗元総理。これでは主客転倒と言われても仕方がない。

そんな例は他にもある。文芸春秋の2014年10月号に、"東京五輪ゴルフ場決定の闇"の見出しで、上杉隆の文を紹介する『五輪招致の際にJOCに提出したゴルフ競技会場は江東区若洲の「若洲ゴルフリンクス」だった。選手村予定地から4㌔の距離。それがいつの間にか難易度や歴史的コースの名のもとに50㌔の距離の「霞ヶ関CC」に変更された。JGA(日本ゴルフ協会)の関係者の多くが、霞ヶ関CCのメンバーであり、本部長の竹田恒正氏はJGAの副会長で、JOC(日本オリンピック委員会)委員長の竹田恒和氏の実兄』とか。

世界のスポーツの祭典のまぶしい表舞台の陰で蠢く、利権や関係する自競技への利益誘導。まさに漆黒(しっこく・黒々とした)の闇にふさわしい連中の顔ぶれだ。

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