第279回 サッカーウィーク
11月15日、第93回全国高校サッカー選手権県大会の決勝戦が、水前寺競技場で行われた。前日までの寒気も緩み、心地よい秋の日差しの中、秀岳館と東海大星翔の対決は例年の常連校とは異なるフレッシュなカード。戦前の予想もほぼ互角、いずれも堅い守りで勝ち上がってきた両校。前半は東海大星翔の攻撃に勢いがあり、ゴールを脅かすが、少し攻め急ぎの感も見られ得点に結び付かない。逆に秀岳館はややスロースターターの印象を受ける人も周りに少なくなかった。東海大星翔の攻撃を耐える中で、次第に動きに滑らかさがでてきた秀岳館が前半36分に左サイドのスローインからドリブルで持ち込み先制、数少ないチャンスをものにして1対0で前半終了。手数から言えば相手とはかなり差があった秀岳館が先制するところに、サッカーの難しくも微妙な勝負のアヤを感じる。後半20分、東海大星翔がゴール前の攻撃からの得点で同点、この場面はスタンド観戦からはシュートに見えたが、公式記録ではオウンゴールだったようだ。そこから延長にもつれ込んだ試合はロスタイムとなり、多くの観客がPK戦を予想した終了間際の秀岳館の攻撃、ゴール前の混戦となり、一瞬のこぼれ球をFW池元が押し込んで決勝点をゲットした。それにしても、双方互角のゲーム展開で決勝戦にふさわしい好ゲームだった。初の全国に挑む秀岳館の健闘を期待したい。ただ、ややスロースターターは全国大会ではかなりの負い目となる。アップの仕方、より精神的な指示を段原一詞監督にお願いしたい。
同じ15日のほぼ同時刻に、公開講座「第22期DOがくもん」が熊本学園大で行われた。講師は日本代表「なでしこジャパン」のFW大儀見優季さん。2011年のドイツで開催されたワールドカップで見事世界の頂点を極めた「なでしこ」のエースは、その前年の2010年にドイツ・ブンデスリーガ入りをして、技術を磨き、2012年には得点王に輝いた。私も受講したかったが時間的に無理で、16、19日の2度掲載された熊日新聞の記事を引用させていただく。2015年6月にカナダで開催されるFIFA女子ワールドカップは、日本の連覇に米国、ドイツが立ちはだかる。この点について『ドイツとは互角に戦えるようになってきたが、米国とは個人能力の差がまだ大きい。日本人の強みのチームワークや細かい技術は生かしつつ、個々の能力を高める必要がある。個人的には来春開幕するリーグ戦に向けて体をつくりたい』と。"現在はイングランドリーグに移籍するなど、常に挑戦していますね"の坂本尚志記者の問いに『自分でもどこに行き着くのか分からない。安定してくると不安になる性分らしく、全く違う世界に身を置きたくなる。未知の扉を開くことで、今まで知らなかった自分に出会えることが新鮮だし、成長につながっていく。進化を止めないためにも挑戦し続けたい』とも語っている。W杯優勝後、盛り上がってきた日本の女子サッカー界のリーダーとして今後を期待したい。
同日、17時より鶴屋デパートで「熊本オールドキッカーズ創設20周年記念式典」が行われた。松崎隆美西日本OBサッカー連盟会長の記念講演。約80名の出席で盛会であったそうで、会長の藤野健一先生が『高い意識と能力で団決し、さらに組織を充実させていくため、惜しみない努力を続けていきましょう』とごあいさつされた由。私は他行事と重なり出席できなかったので、以下の祝詞をお届けした『熊本オールドキッカーズの創設20周年にあたり、県協会を代表して一言ごあいさつを申しあげます。この度は文部科学省・生涯スポーツ優良団体の賞のご受賞、まことにおめでとうございます。生涯現役の皆さまの心意気に心からのリスペクトを捧げます。一般社会では続けてきたことが出来なくなり、新たな生き甲斐や仲間探しのいわゆる"老後に向き合う""終活"の言葉に満ち、穏やかな老後が幸せの姿のように言われますが、その意味に於いてオールドキッカーズの皆さまは凄いの一言です。モットーの「親睦第一」「勝敗第二」の名文句も、伺ったのが藤野健一先生でしたから、つい、「勝敗第一」「親睦第二」と聞こえてしまいました。冗談はともかく、いつまでもお元気で、蹴りまくって「素晴らしき哉サッカー人生」をエンジョイしてください。ご盛会を祈念申しあげます。
18日、日本対豪州のサッカー国際親善試合をTV観戦。市内のスポーツバーでと思ったが、ビヤホールのOでもやっていますと勧められた。TVで見かける日本代表のブルーのユニホーム姿の大賑わいを予想していたが、店側の他の客への配慮で音声なしの大画面。静かな静かな観戦で殆どの客がTVに背を向けて飲んでいた。次回は熱い雰囲気で観戦したいと思った。後半16分、守備の堅めの交代で入った今野選手がヘディングでの先制点。その直後に同じく交代で入った乾選手も絶好の得点シーンがあったがこれはノーゴール。これが決まればアギーレ監督の采配が光った訳だが。そして23分岡崎選手技ありのヒールで背後へのシュート。岡崎選手にしろ本田選手にしろ本場で活躍する選手らしいプレーを随所に見せてくれた。一方、香川選手に最近そんな輝やきが見られないのが残念。また、終了間際の失点はいただけない、GK川島選手の怒りの表情が守備陣の帰陣の遅さを物語っていた。この失点で私の中の90点のゲーム評価が60点に下がってしまった。