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第285回 沖縄行

1月23日~25日、沖縄県ハンドボール協会の創立50周年記念式典に招かれて訪問した。金城幸信会長が『全国で46番目の協会設立で、ほぼ、最後尾からのスタートだったが、計65回の全国制覇を成し遂げた。2020年の東京五輪に本県出身の選手が選ばれることを期待したい』と、協会を代表して挨拶をされた。県外からは熊本や九州協会の理事長を永年務められた藤田八郎先生(92歳)と私の2名。藤田先生は現在お住まいの千葉から出席され、沖縄県協会から特別功労賞をいただいた。

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沖縄県ハンドボール協会の創立は1965(昭和40)年。本土復帰が1972年だからその7年前の発足。九州協会の各県理事長等で訪沖したのが復帰の2年前の1970年、当然のことだがパスポートが必要だった。初代会長の仲田豊順先生は県立那覇高校の校長で高体連会長を務められた温厚なお人柄の教育者で、今日の県協会の隆盛の礎を築かれた。1987年沖縄県で開催された「海邦国体」で見事、男女総合優勝を果たした。東江正作理事長は2年前の九州ハンドボール協会創立50周年記念誌の「50周年に寄せて」の寄稿で、『本県ハンドボールのターニングポイントは1987年に開催された海邦国体である。情熱あふれる嘉陽宗陰会長(3代目・現顧問)のもと、熱血漢の新垣健理事長(現副会長)を筆頭に、金城幸信副会長(現会長)、儀間次男強化本部長(現顧問)らがリードしながらの総合優勝を目指し強化に邁進しました。少年男女を重点種目とし、並行して開催地となった浦添市・東風平(現八重瀬町)で小学生を対象としたハンドボール教室を開催し普及を図った。強化策が実り、少年男女が見事に優勝し、成年男女が4位で総合優勝を飾る事ができた。これを機に県全体の競技力が向上しました』と述べている。

この海邦国体の強化の県外コーチとして、男子は北川勇喜氏(元日体大教授)と女子は私、井(元立石電機監督)が指名され携わった。県協会と関係者の熱意は素晴らしく、総合優勝の瞬間に嘉陽会長が大喜びして『井さん、今晩は"ひーじゃ"』と叫ばれ、意味の分からない私が、周りの方に訊ねると『沖縄ではお祝いごとではヤギ料理です』との説明。宴は泡盛とヤギ料理で盛り上がったのは言うまでもない。ただ、東江理事長の文にある『国体を機に県の競技力が向上した』、この言葉の意味は深く。ややもすると、国体は一過性で"熱く取り組み、終われば、逆戻りの"の例を沢山観てきているが、その後の黒島宣昭先生率いる興南高校を始めとする高校勢、また、それらの母体となる神森中学校を先頭の「中学生の部」、さらにその底辺の「小学生の部」も全国大会の常連だ。また現在、日本リーグに参画している琉球コラソンも沖縄スタイルのトリッキーなプレーで人気を博している。当時、1988年のソウル五輪のアジア予選を控え、日本代表の強化練習でも度々伺い、沖縄県の女子の強化に併せて合同の合宿を行った。こんなこともあった。具志頭村の体育館で練習を終え、那覇の宿舎(約15㌔)までランニングでの帰途、走っていると後ろから追いついてきた男性が『皆さんはハンドの方々ですか、私の叔父が県協会の理事長をしています』と、理事長と言えば平仲孝縈先生だがと思いながら目をやると、何とプロボクサーの平仲明信さん(元WBA世界ジュニアウェルター・チャンピオン)。走りながら彼はいろいろと話しかけてくるが、こちらは息が荒くとても話しておれない、『済みませんが先に行って貰えませんか』と頼むと、走り慣れた道だろう『失礼しますと』というと、あっという間に走り去った。良い思い出のひとつだ。

今回の祝賀会の席で『井会長おめでとうございます』の声。この場で会長とは?と振り返ると、県サッカー協会の具志堅朗会長ほか5人の皆さん。私は現在、熊本県サッカー協会長を務めていて、3年前の国体の九州ブロック予選は沖縄県でお世話になり、その他でもよくお会いしている方々で嬉しかった。他競技の皆さんの出席も多く、レスリング協会長の津森義弘氏にも久しぶりにお会いして旧交を温めた。

私は海邦国体から10年目の1997年、沖縄県体育協会主催の競技力向上対策講習会に招かれ、全ての競技種目の指導者の皆さま方に「海邦国体から10年」の演題でお話をさせていただいた。"国体に向けた県を挙げての強化が終わり、指導者も世代交代の時期を迎える、本県は温暖(夏の暑さは厳しい)なので、技術つまりスキル面の練習には適しているが、傾向としてみてみるとメンタルや体力維持のスタミナ等にアンバランスを感じる。若い人たちの伸びやかな気質は尊重しながら、規範の大切さを通してあきらめない粘りも必要"このような内容をお伝えした。

藤田八郎先生は高校時代の恩師。92歳だが信じられないほどお元気。毎日ご自宅近くの江戸川沿いを1時間ほど散歩をされているとのことで、祝賀会の翌朝宿の近くの首里城をご一緒した。暖かく晴れわたった気持ちの良い古城を恩師と歩きながら、前夜の祝賀会や沖縄の皆さまのご厚意等を語り至福の時間を過ごせた。

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