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第286回 1級審判昇格祝賀会

2月11日、市内のホテルで県サッカー協会主催の1級審判への昇格をお祝いする会が行われた。ご来賓として九州協会の審判委員会より浜田章治氏と永松常徳氏にお越しいただいた。今回1級に昇格したのは上田隆生(32歳)さんと、女子1級の小野田伊佐子(32歳)さんのお二人。会の冒頭に山城大・九州協会審判委員長が経過報告をかねた挨拶で以下の説明を行った。2級審判員から1級への昇格には3回の挑戦権があるようで、上田さんはその3回目のトライで昇格を果たしたそうだ。3年連続トライの予定を、3回目は1年空けて捲土重来(けんどじゅうらい~一度敗れたものが再度姿勢を整えて臨む)を期したそうだ。難しい漢字を使ったが、今回の上田さんの挑戦にはこの言葉がピッタリ。それにしても奥さまの支えもありラストチャンスを物にするあたりは末頼もしいし、"スピードが持ち味"との評価だった。

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(上田隆生さん)

小野田さんは岐阜大学農学部から熊本の化血研に入所。1級審判へは異色の経歴に思えるが、静岡出身で掛川JFCからジュビロ磐田レディースに所属した根っからのサッカー女子。2007(平成19)年の化血研入所の年に4級審判員の取得から7年目に女子1級をワントライで取得した。前述の山城氏は"ファウルの見極めが確か"で、最終審査のゲームは関東女子大学リーグの早稲田大対日体大のカード、小野田さんが日頃接しているより遥かにハードな内容のゲームだったが、落ち着いたレフェリングだったと評価した。本人は熊本で所属する城山FCレディースSPEC2の岩崎珠美さんやチームのメンバーの支えに感謝を口にした。

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(小野田伊佐子さん)

主催者として私は、両君の努力を称え、周りの方々にお礼を述べた後、次のようにあいさつした。『ファウルやボールの近くでの判定には文句はでない。広いサッカーのコートでそれに応えるには、プレイヤー以上の脚力と、ゲームの展開の読みが求められる。毅然とそして時にはユーモアの精神も必要な場合がある。昔、プロ野球の審判で"俺がルールブックだ"と言い、威厳を示した人がいたが、審判の威厳と言うのは自分で表すものではなく、正確なジャッジの積みあげの中で次第に備わってくるもの。そして、私なりにはゲーム終了時のあいさつで、"あ~あ審判が居たんだ"そんな存在が最高の審判だと思っている。ぜひ多くの経験を重ねて大成してください』と激励をさせていただいた。その時には、触れなかったが私は常々、シミュレーション(ファウルのように見せかける行為・多くの競技の中でこの行為はサッカー独特のもの)を見抜き、ジャッジするのも近くで判定すれば、説得力があると思う。

私はハンドボールの指導に永年携わり、"あ~あ審判が居たんだ"は30代の頃から感じていたことだが、サッカーに縁があり、読んだ本の中に上川徹さんの言葉で全く同じフレーズがあり、我が意を得たりだった。紹介しよう『笛を吹かないゲームをしたい。やっぱり、目立つ審判っていうのは良くはないのかなって思います。笛の吹き方ひとつとっても、ずっとピーピー強い笛で吹いていれば耳触りにもなってくる。それは観ている人達もそう思うだろうし、選手たちもそう思っているはずなんですよ。流れを重要視しながら、選手が気持ちよく試合に集中させられるような環境とか状況を作ってあげること。空気のような存在であることが一番いいんじゃないですか。色んなことを未然に防ぎながら、コミュニケーションとったりして、結果的に"今日の試合、審判居たの?"ってなるのが理想的ですよ』。ちなみに、上川徹氏は現在、日本サッカー協会の審判委員長。

閑話~2題

1月下旬のある日、今回熊本を離れることになった、GK(ゴールキーパー)コーチのK、Y、君の送別会をこれもGKのO君を交えて飲み且つ語った。GKならではの難しさや孤独感、やり甲斐のうんちくに、しばし耳を傾け聞き入った。最後はブラジルW杯でのドイツ優勝の立役者マヌエル・ノイアーのプレーの話しで盛り上がった。ゴールの死守は当然だが、積極的で好判断の飛び出しで、相手のカウンターのチャンスをつぶす場面が多く、新たなGK像を世界に示した。K君とはロアッソ熊本に10年間在籍した加藤竜二氏、GKコーチとしてチームを支えてもらった。Y君は益城ルネサンスのGKコーチの吉岡慎輔氏。短期間だったが、長崎国体の熊本代表のレベルアップに貢献してもらった。O君は協会の医科学委員会の大森恵太氏、現在社会人の2部のチームでプレーしている。ただ、話しているとこの連中は熱くGKの話しばかり。おいおい空気読めない男たちばかりだと思っていたが、ふと合点がいった。K、Y、O君そのまま、空気を読めない男たちだったのだ。

2月10日の熊日新聞、スポーツ面に囲みで"韓国サッカー選手が人命救助"の記事。熊本でキャンプ中の韓国プロサッカーのKリーグ・城南FCの選手たち5名が食事をするために出かけた際に、信号待ちの女子高生が突然倒れたのを見て、生徒に上着を掛けたり、救急車を呼ぶように依頼したりの救助活動『やるべきことをやっただけ』と謙遜していたと報じた。その行為を蒲島郁夫熊本県知事が評価。13日午後の練習後に、知事から直接感謝状と記念品が渡される。春近しを感じさせる嬉しい出来事だ。

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